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龍馬伝~続編 [創作落語]

猫も杓子もサッカー、サッカーと申しておりました2002年の日韓共催のワールドカップから早3年。去年から2006年のドイツ大会に向けて各地域で予選が始まりましたなぁ。およそ200余りの国と地域からわずか32ヶ国しか本戦に出られんのですから、競争率6倍余りの「狭き門」ですな。出られる国と出られん国とではそりゃまぁ大きな違いやそうで、何がどう大きく違うかはようわかりませんが・・・。
日本も「ドイツに行く」ちゅうて必死になっとります。行くだけなら自分で飛行機のチケット買って勝手に行ったらええのにてなもんですけれど、そういうもんやのうてサッカーで勝って行きたいんやそうです。

さて、ここより先はフィクションでおま。実在する人物、国名は本物とは何の関係もございません。
サッカー日本代表監督を引き受けたジイコという男、彼こそかつてプラジル(ブラジルではないプラジル、Prazil)なるサッカーの強国で超有名選手でありました。そんなジイコが代表監督を引き受けたものの、起用する選手が思ったほど働きよりません。何より深刻なのは決定力不足ちゅうて、得点を決められない。
ご存知のとおり、サッカーちゅうのは、手以外を使うてボールをゴールちゅう鉄の棒と網でかこまれた所へ入れる球入れでおま。球1個で1点ちゅう計算で、「ひとーつ、ふたーつ・・・」てな風に数えるたたかが球入れ競技に世界中の人間が一喜一憂、熱狂するんですなぁ。この球入れの1点がなかなかとれんのがジイコ監督の悩み。

ジイコ「おうおう、ワシなら簡単に決めるんじゃが、ワシの教えたとおりにアイツら動きよらんのぅ。どないなっとるねん!ちょちょいのちょいのリズムで蹴れば簡単に点が取れるのに・・・」
ジイコ監督、かなりお悩みのようであります。このままじゃイカンということで、ジイコは決定力不足を解消するために思い立って有望な選手を発掘しに日本中を北は北海道の稚内から南は沖縄の与那国島までを旅に出ることにいたしました。
北海道を出発した頃はまだ余裕があったんですが、北海道には有望な選手はおらず、東北もこれといって際立った選手もおらず、関東、中部、関西・・・と来てもやはりええ選手はおりません。そうこうするうちに焦りながら半ばあきらめ気味にジイコはとうとう四国に。
ジイコ「はぁ・・・、四国まで来たかぁ。あとは四国と九州と沖縄しか残ってへんなぁ。せめて1人でええから、ええ選手はおらんかのぉ・・・。北海道じゃ、間違えてヒグマをスカウトしかけたし、東北じゃ、話題の義経の子孫とやらに『ふりこめ詐欺』で騙されかけるし、散々やったわ・・・」
ジイコがそうやって独り言をつぶやきながら高知のはりまや橋の上を歩いておりましたら、いきなりジイコの目の前に身長5尺5寸の男が上から落ちてきました。
ドスンッ!
男「あいたたた・・・!」
ジイコ「うわぁ~!びっくりしたぁ。だ、だい、ダイジョウブですか?」
男「お~、いってぇ~!・・・と、ところでここはどこじゃ?おい、中岡!中岡はどこじゃ?中岡は無事か?」
どうやら、男は中岡という人を探しておるようです。
ジイコ「あんさん、一人だけが空からいきなり降ってきたけど・・・、お友達でもお探しか?」
男「おう、中岡慎太郎という土佐の男と飲んじょった時にいきなり刺客に襲われて・・・ほれ、この通り、ワシは眉間に傷を負ってしまったが、中岡は無事か?と心配しとるんじゃ」
どうやら、この男、坂本龍馬のようです。
そうです。中岡慎太郎と飲み語りあっていたときに刺客に襲われ命を落としたあの近江屋事件の最中に運良く命と引き換えに何を間違えたか現代にタイムスリップしたようです。しかも地元土佐のはりまや橋に。
ジイコ「もしかして、あなたはかの有名な坂本龍馬さんですか?」
いくらジイコがプラジル人であれ、日本での生活が長いので坂本龍馬のことはよく存じておるようです。
坂本「おう、そうじゃが、なぜにワシの名前を知っちょる?どうやらここは『はりまや橋』と書いてあるからはりまや橋らしいが、土佐も何もかもがえらい変わってしもて何と言っていいやら、あんさんがワシの名を知ってるのだけがうれしいてうれしいて・・・。おりょうと乙女姉さんに会いたいが・・・どこにおるやろか?」
坂本龍馬、それまでいた日本とは全く違う現代の日本にいきなりタイムスリップしてパニックになりつつも、自分の名前を知っている人に出会って、大喜び。ジイコもジイコで、ここではたとひらめいたのであります。
ジイコ「そうじゃ、坂本さん、ワシんところのチーム、いや組に入らんかねぇ?手ぇ以外をつこうて球を蹴りあう試合をする組なんじゃが。組は組でも新撰でも見廻でもない、ヤーサンなんかのややこしい組じゃなくて・・・」
と、ジイコもややこしい横文字を使わずに説明しよると、さすが、異国の文化に通じていた坂本龍馬。
坂本「おう、それはもしかして、さっかぁーちゅうすぽるとではなかろうかの?」
ジイコ「そう、サッカー!」
坂本「それなら、ワシが長崎で仲間達とやっとった。ワシはフォワードじゃった」
ジイコ「それなら、話が早い。我が日本の代表チームに入ってくれ。ここんところ、代表召集も手詰まりでのう。ちゅんスケ(中村俊輔やおまへんでぇ)、ヒゲ(決して中田英寿やおまへんでぇ)やらの海外組に召集をかけても、なんじゃかんじゃと理由をつけてはなかなか来てくれんのじゃ」

てな具合に坂本龍馬が日本代表入りの話がとんとん拍子に進み、坂本龍馬の加入で、ジイコが心配していた日本代表の得点力不足は解消。
そして、坂本龍馬の大活躍もあって、日本代表は向かうところ敵なし。アジア予選も楽に突破。ドイツの本戦でもあれよあれよのうちにジイコの母国のプラジルを大差で破って見事に優勝した試合後。
坂本「あー、いたたたた。体中が痛くてたまらん。ヒゲざん、そこの膏薬をワシの体に貼ってくれんか?」
ヒゲ「はい、はい。しかし、龍馬さん、この臭い何とかなりませんかねぇ。頭のてっぺんから足の先まで全身サロンパスだらけですよ。部屋中、いや、ホテル中がサロンパスの臭いで充満してますよ。試合の後はいつもホテルの近所から悪臭がするって苦情が来ているそうですよ」
坂本「そうかい?でもなぁ、ヒゲさん、ワシは膏薬がないと得点を決められんのじゃ。膏薬が得点源じゃった」
ヒゲ「なるほど。坂本龍馬は船乗りだけに湿布(シップ)が欠かせん」


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