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イチロー~創作落語 [創作落語]

いつどこでわたくしの情報を仕入れたんか知りませんが、ちょっと前まではお仕事中に「株買いませんか?」とか、「クレジットカード作りませんか?」とか、「明太子買いませんか?」てな電話がようけかかってきとりましたなぁ(電話がかかってきたからっちゅうても買いませんが)。ホンマにええ品物で売る気があるんなら電話なんかで商談を済まさんと、自分の足で訪問して売りに来ればええと思いますなぁ。明太子やったら買うかもしれませんでぇ。
最近はそんな電話がまったくかかってきよりませんわ。たぶん、4月1日から施行された個人情報保護法の影響でしょうなぁ。そんな電話をかけてわたくしの個人的な情報をどこから知ったのかを質問された時に、企業側はどこからその情報を手に入れたかを答えなアカンのだそうですなぁ。
しかし、わたくしが正直者であるとか、イチローに似ているとか、女によくふられるとか・・・などなど、わたくしの重要な情報が漏れてるっちゅうのも怖い事ですなぁ。


トゥルルル~!
ガチャ!
男「もしもし」
女「こちらカメムシ証券です。先生のところでは投資なんかをお考えでしょうか?この度、新しく上場する会社の株を優先的に先生のところに・・・」
男「あ、そんなん興味ないから、結構ですわ」
女「いえいえ、そんなことおっしゃらずに。では、我が社の新商品で絶対にもうかる・・・」
男「だから、興味ないっちゅうねん!」
女「それじゃ、この夏に沖縄自転車旅行をされるイチロー似の男前の先生の為に新しい商品のご案内で・・・」
男「えっ!何でそんなこと知ってるねん?どっから『男前』って情報を仕入れてん?(ホンマやけど)」
女「まあまあ、そんなことはどうでもよろしくって。うふっ!万が一、飛行機が墜落した場合に備えての・・・」
男「保険か?」
女「いえ、我が社で扱ってるのは保険じゃなくてパ・ラ・シュー・ト。パラシュートでございます。おーっほっほっほっほっほ・・・」
男「『おーっほっほっほっ』って、『笑ゥせぇるすまん』か?だから、どっからそんな情報知ったんや?大体うちの電話番号もどっから知ったんや?」
女「いえいえ、そんなことはどうでもよろしくって。うふっ!パラシュートの性能ですが、1万フィートの上空からでもボタンひとつ押せば無事に地上に降りられるような設計になってまして・・・」
男「パラシュートはいらん。旅行に持って行くんに荷物になるだけやし。それより実用的な商品はないんかいな?」
女「それでしたら、カメムシが増えるこれからの季節にピッタシのカメムシの臭い避けの鼻センってのがございますが」
男「ただの鼻センちゃうんかいな?」
女「いえ、ただの鼻センじゃございません。カメムシの臭いがする鼻センでして、これならいつカメムシに出会っても大丈夫な一品です」
男「カメムシの臭いの鼻センって、よけ意味ないやんかぁ!どこが『大丈夫な一品』やねん?カメムシ中毒で死ぬんちゃうか?」
女「そういえばそうです・・・ねぇ。えへへっ」
男「おたくの会社にしかないようなもっと世の中の役に立つ商品なんかはないんかいな?」
女「では、女性によくふられるイチロー先生のような人の為に我が社が開発した・・・」
男「眉薬か?」
女「いえいえ、ふられ止めクリームをオススメします」
男「ふむふむ。『ふられ止めクリーム』って何やねん?日焼け止めクリームみたいやなぁ。何かドラえもんの道具みたい・・・って、だから何でそんな情報知ってるねん?」
女「うふふっ!まあまあ、そんなことどうでもいいじゃないですかぁ~。でも、そんな時はこのクリームを全身にペタペタ塗れば効果テキメンですのよ」
男「さよか・・・」
女「わたくし共の資料によりますと、イチロー先生はよく女性にふられてますわねぇ。その数、えーっと・・・、ひぃー、ふぅー、みぃー、よぉー、いつ、むー・・・」
男「・・・数え方は古風ですなぁ」
女「イチローだけに振られるんも鋭い・・・なーんて。あはははは・・・」
男「うまい!座布団一枚・・・ちゃうがな!ほっといてくれっ!」
女「世の中にはふられてばかりの可哀想な人種もあるんですねぇ。ご愁傷様です。いっそのこと天然記念物に指定してもらったらいかがでしょうか?」
男「ええねん!ふられるんが趣味なんや!セールスでそっちから電話かけといて失礼な姉ちゃんや!しかし、何でもよう知っとるなぁ。気持ち悪いくらいや」
女「いえいえ、それほどでもございませんわ。ふむふむ。ふられるんが趣味・・・」
男「こらこら、メモするなっちゅうねん。ふられるんが趣味ちゃうねん。ふられるんが特技なんや」
女「ふられるんが特技に訂正!」
男「だから・・・メモするなっちゅうねん!でも、おたくの会社、証券会社っていうてるのに、いろいろ売ってますなぁ。いやぁ、その商魂のたくましさに感心しますなぁ」

この男、いつの間にやらセールスの女のペースに乗せられとります。
女「このご時世、何でも売っていかないと生き抜いていけませんものね。あら?向こうの方から上司の声が聞こえてきますわ」
電話の向こうで上司の怒鳴り声がしております。
上司「おい!長話しばかりしとらんとしっかりセールスせんかい!」
女「は~い。油売ってま~す!」


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